まず「酸化」という言葉について説明します。
鉄など空気に触れそのまま放置しておくと錆びてしまいますよね。
食品も同じで酸素に触れたままにしておくと酸化し質が劣化してしまいます。
フルーツなどカットしておくと色が茶色くなります。
ワインも開栓後そのままにしておくと酸っぱくなります。
これがまさしく酸化です。
空気の存在する環境下では自然現象と言えます。
そういう状態を予防するための酸化防止剤についてまとめてみました。
食品に使われる目的と酸化防止剤の種類
酸化防止剤は「酸化」することを防ぐ為に使用されます。
酸化防止剤、添加物というと身体に悪そうな成分をイメージされるかもしれませが、ビタミン剤を用いたり、意外となじみのある成分を酸化防止剤として使用したりします。
そして大きく「水溶性」と「脂溶性」とあります。
これは添加物自体が「水溶性(水に溶ける)」か「脂溶性(油に溶ける)」かの違いで使い分ける為です。
●L-アスコルビン酸(ビタミンC、VC)
水に溶けやすく強酸性である特徴から食品が茶色くなり、風味が悪くなるのを防止します。
●カテキン
茶の葉や枝などの主成分です。ビタミンCやビタミンEなどと一緒に添加することで酸化防止効果が強まるとされています。
●エリソルビン酸(イソアスコルビン酸)
強い還元力があります。使用上限量等がないことからよく酸化防止剤として使用されます。
●トコフェロール(ビタミンE、VE)
アーモンドなど種子から作られるものや、化学合成で作られます。脂溶性食品の酸化防止に使用されます。
●ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)
クエン酸やアスコルビン酸など他の酸化防止剤と併せて添加されることが多いです。脂溶性で、安定性が高いことが特徴です。
●ブチルヒドロキシアニソール(BHA)
脂溶性で浸透性に優れていて、酸化防止作用が強いです。
酸化防止剤を添加する目的とは?
食品の質を低下させる原因として、食中毒菌の繁殖や微生物による腐蝕、そして酸素によって起こる食品劣化が挙げられます。
肉、魚、卵、豆腐などのたんぱく質も勿論ですが、野菜、油、全ての食品が酸化されることにより食品品質の低下、色や風味や味の悪化を起こします。
酸化によって消化器症状(下痢、嘔吐、食欲不振等)の原因になる可能性もあります。
酸化防止剤を添加することでこのような状態、症状を予防できることが最大の利点でもあります。
摂取することで考えられるリスク
酸化防止剤と一言で言ってもいうとなんだか怖い成分のようにも思われがちですが、ビタミンなどは身体にとって有害であることはありません。
またビタミンEを添加する場合は0.05%程度、ビタミンCの場合0.1%程度です。
これだけ微量であることからもビタミン自体の健康被害は、ほぼ気にすることはないと思われます。
ブチルヒドロキシアニソール(BHA)とジブチルヒドロキシトルエン(BHT)に関しては、過去に発がん性の疑いがあると言われていましたが、追加調査で発がん性は認められなかったことから、現在は酸化防止剤として認可を受けています。
このように、酸化防止剤と一括りにされてしまっていると、発がん性の疑いがあったものが混入しているかが消費者にはわかりづらくなっています。
また、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)やビタミンEが添加されるパーム油は血液をドロドロにし、血流が悪くなることから動脈硬化や肥満など慢性疾患の原因になることが知られています。
酸化防止剤自体より、添加される食品の健康被害のほうが怖いものもあります。
よく使われている食品の例は?
●L-アスコルビン酸(ビタミンC)… ジャムなど果実加工品、漬物、パンなど
●カテキン…魚肉加工品、、食肉加工品、菓子、清涼飲料水など
●エリソルビン酸(イソアスコルビン酸)…果実加工品、漬物、魚肉加工品、農産物缶詰、漬物など
●トコフェロール(ビタミンE…バター、菓子類、インスタントラーメンなど
●ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)…チューイングガム、バター、魚介加工品、魚介冷凍品
●ブチルヒドロキシアニソール(BHA)…バター、魚介乾製品、魚介加工品、パーム油等
避けるためにどんな対応策をすればいいか?
以前は発がん性を指摘されたものも現在では問題ないとして許可されていること、ビタミンであることから他の添加物に比べたら特に神経質になる必要のない添加物と言えるかもしれません。
ただし、添加される食品自体に注意したほうが良いものもあります。
少なくとも質の悪い脂(パーム油やショートニング)などは酸化防止剤云々の前に、その食品自体に気をつけていくのが良いでしょう。
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またワインを飲むと頭痛がするといった声もよく聞かれますが、原因は酸化防止剤に含まれる亜硫酸塩(二酸化硫黄の等価体)が原因と言われています。
これは亜硫酸塩に毒性があるから頭痛が起きるわけですので、症状が出る人はもちろん症状を感じなくても注意したほうが良いでしょう。
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