MENU

パニック障害 闘病記 ~発作~

前日の朝に起こっためまいと大きな動悸
今日は大丈夫かと不安だったが、何とか大きな動悸は起きずにいる。

しかし、不安に似たなんとも言えない感情がまとわり付き、とりあえず会社に連絡だけして休むことだけ伝えた。
それから数日特に変化もないようだったが、それはまた突然に訪れた。

いつものようにパソコンを開き、ニュースサイトを見ていた時だった。
最初の発作の時のようなめまいに襲われる。

またか・・・!

パソコンから離れ、ベッドに横たわり、目を閉じてその場をやり過ごす
今度は心臓の動悸はない。めまいもそれほど強くなかった。

よかった、前ほどひどくない。数分も経てばめまいはおさまり、普通に立ち上がることができた。
もしかしたらパソコンがいけないのかもしれない。最初の発作の時もパソコンを開いてネットサーフィンしている時だった。

そういえば、化学物質過敏症や電磁波過敏症で苦しんでいる人の話を思い出した。
パソコンは1日に3~4時間が限界という人。電化製品が全くダメで田舎に移り住んでいる人。その人に共通しているのは、電化製品(電磁波を発信する機械)に対して過敏に反応してしまうことだった。
電化製品過敏症というのは、突然に発症するという。まるでコップの中に水を入れていき、それがこぼれないうちは全く症状がでないのだが、一度こぼれてしまったらコップの中の水は溢れ続けてしまう。
治療法はなく、発症してしまったらできるだけ電磁波を受けない環境に身をおくしかない。

自分もそれなのだろうか・・・
とりあえず、パソコンをしている最中に症状が現れたことから、これからは制限してみようと思った。

それから数日たっただろうか
パソコンはできるだけ使わず、本を読むかネットで見たいものがあったら、必ず印刷して紙で読むようにしていた。
100ページ近く印刷した文書を全て読み終えたその時だった。

頭がひどく疲れた。少し休もう・・・
しかし頭の疲れはだんだん大きくなり、頭がパンクしてしまうんじゃないかというほどになってきた。
もう動けない、これ以上は頭の中が本当にパンクしてしまう。頭を休めようと目を閉じ、頭の中の力を抜くように、できるだけ何も考えないようにしてみる。

しかし、なかなか頭のひどい疲労感は抜けず、数十分はその状態が続いた
このままじゃ頭が破裂して死んでしまうのではないか?そんな恐怖に襲われていた。

しばらくすると、徐々に頭の疲労感が抜けていき、何とか起き上がれるようになった。
今のは発作?めまいや動悸はなかった。また新たな症状が現れてきたことにショックだった。
パソコンをやっていなくても起きた症状に、もうわけが分からなくってしまう。

パソコンが原因じゃなかったのか?しかも今の頭の疲労感や膨れ上がってパンクしそうな感覚は何?まさか本すらも読めないのだろうか?でも、検査した結果は異常なしだったのだから、やはり過労なのだろうか・・・?

その日を堺に、何かをやる意欲が奪われ、パソコンはおろか本を読むことすらしなくなってしまったのだ。
パソコンをしたり本を読むと症状が悪化してしまうことを恐れ、できるだけ刺激を与えないように生活をしてみると気づくのだが、ほとんどすることが無くなってしまう。
食事をする時以外は、家で横になっているかぼーっと外を眺めているだけ。

「つかれてるのね。仕事忙しかったから・・・」

そんな私を見る彼女も最初のうちはそういって、励ましてくれていた。
しかしそんな日が続くと、彼女が思いもよらないことを口にした。

「うつ病じゃない?」

それを聞いた時、私は絶対にうつ病ではないと断言していた。
傍目から見ればそう写るかもしれないが、精神的な問題ではなく、物理的に動悸、めまい、頭の疲労感があるから、何もできないのだ。
症状が無くなれば何でも出来るようになるし、オレだって本当は仕事に行きたいし外にも出たい。今だって、頭に変な異物感があって気持ち悪いのだ。

当時、うつ病と言われることにとても抵抗感があった。
気の持ちようだと言われているようで、自分の症状をきちんと理解してくれていない。
あの時の心臓の鼓動、天助がぐるぐるまわるような強いめまい、頭の中の違和感は、とても口で説明して、人に伝えられるような単純なものではなかった。
自分自身も今まで感じたことのない症状なのだから、普通の人が理解できるわけがない。

いろんな思いが交錯して、私は絶望感に浸ってしまった。

それから調子のいい日はパソコンや本も読んだりして過ごしていたのだが、体調は一向に良くならなかった。
たまに強い動悸の発作が起こったり、手足のしびれ、全身の脱力感、動悸、寝付きの悪さ、悪夢などの自律神経失調症の症状や、寝起きに起こるクラクラした感覚、自分が自分でないような感覚、目の前の現実感の喪失感、意識が遠のいてしまうような感覚。その日によっても体調がころころ変わり、次第に食欲もなくなっていったのだ。

そんなある日、これまでに感じたことのない強烈な症状に襲われた。
いつもなら、午前中に体調が悪い時は、午後過ぎには戻ってきたり、逆に午前中体調がいい時は、午後から悪くなることが多かった。

しかしこの日は朝から何となく体調が良くなかった。いわゆる自律神経失調症の不定愁訴の症状であり、なんとか体調が戻るまで横になっていた。
でも午後になっても体調がよくならない。朝から何も食べていなかったので、夜ぐらいは食べないとな・・・と思ってベッドから起き上がり歩き始めたその瞬間

喉のあたりにかゆみに似た感覚が起きて、変な違和感があり思わず喉のあたりを急いでさすってみる。すると喉の変な感覚は一瞬治まったのだが、また遠くから喉にじりじりとさっきの違和感が戻ってくるような感覚・・・
次の瞬間、頭の中心から真下の喉に向けて、凄まじいスピードで閃光が走るような感覚がおき、心臓がドクン!!と鳴るのだ。
まるで、子供の頃に遊んだロケット花火が頭の中心から心臓目掛けて打ち上げられ、心臓が熱く鼓動し始めるような感覚は、拳銃で打たれたかのようでもあり、思わず胸を抑えその場にしゃがみこんでしまった。

もうだめだ・・・

死を覚悟した私は、ダイニングまでなんとかたどり着く。
一人で食事をしていた彼女が、あわてて駆け寄ると、何がどうなったのかわからない様子で話しかけてくる。

今の私の症状を一言で言い表すのは困難であり、

「し、心臓が・・・」

これまでとは明らかに違う自分の様子を見て、再び救急車を呼んでくれた。
救急車で病院につく頃には、症状は軽くなっていた。でも、またいつどうなるかわからない。そう思うと、もうこのまま入院したほうが楽だと思った。

夜間の救急ということで、詳細な検査はできないらしく、レントゲン、心電図、血液検査のみ行った。
正直心臓もそうだが、頭の変な感覚が一番気になっていたので、CTを撮ってくれないのはもどかしかった。

診察室によばれ、聞かされた検査結果はまたも「異常なし」

「もう少し様子を見ましょう。今は治まってるんですよね?」

このまま入院する覚悟だったのに、正直わけがわからなくなっていた。
異常なしだなんてそんなバカなことあるはずがないだろう!

しかし、救急ということもあり、これ以上は検査は無理ということで、別の日にCTを撮ってもらうしかないとその日は帰宅した。
次の日に早速病院へ行き、脳神経外科を受診することに。CTよりも細部まで検査できるMRIを進められたが、予約できるのは2週間後・・・

そんな先まで待てないと思った私は、別の病院で一番早くMRIを撮れる所を探した。
すると、即日にでも検査できそうな病院が近くにあったので、すぐに予約を済ませた。

運良く、担当になった医者がベテランのようで、優先的にMRIと脳波の予約を入れてくれた。
脳波を撮り始めると、またしても頭の中の異物感が現れ、神経が過敏に反応しているような感覚に襲われてしまった・・・
脳波は割りと時間のかかる検査のため、最後まで持つかどうか不安だったが、何とかそれ以上悪くなることはなく検査を終えた。

あれだけ体調が悪い中で検査したんだから、何かしら異常が現れているはずだろう。
普通なら決して異常がでることを望みはしないが、当時はとにかくこの体調不良の原因を知りたかったのだ。

検査結果当日、脳神経外科に診察にいき、医師から告げられたのはまたしても異常なしだった。
そして、次の瞬間に発した医師の言葉に同様を隠せなかった。

「心療内科を紹介します」

当時の私は、うつ病や統合失調症を含む精神病は、カウンセリングを受けたりして不安を取り除くような、恋人を失った人や、虐待を受けた人などが心療するイメージだったのだ。

以前、原因不明の不治の病の人は、医者から見捨てられ心療内科や精神科に行かされるとと聞いたことがあった。だからこそ精神的な問題ではなく、心臓はバクバクするし、頭の変な感覚が物理的な問題だと思ったため、心療内科は見当違いだと思っていた。

しかし、心電図、レントゲン、血液検査、CT、MRI、脳波において、問題が見つからない以上は、もう心療内科でも何でも行くしかないと心に決めたのだった。

よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

目次
閉じる