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パニック障害 闘病記 ~発症~

それはある冬の朝
私はいつもより早く目覚めて、いつも通りパソコンの電源を入れた。

パソコンが立ち上がり、ニュースサイトを見ようとしたその時だった。

急に目の前が激しく揺れ始め、今までに感じたことのないめまいのような感覚に急に襲われた。

それと同時に不安や恐怖に似た感情が溢れ、思わずパソコンの電源を切り、ベッドに再び倒れこむ。

天井がぐるぐると周り、天と地がひっくり返ったのか、どっちが上でどっちが下なのかわからず、あまりの異常さに目を閉じその場をやり過ごそうとしたのだが。

めまいのような感覚に襲われながら、暫くベッドの上で横になっているその時、何の前触れもなく、心臓がバクバクと尋常ではない大きさで鼓動し始めた。

このままでは、心臓が破裂してしまう!
背中から心臓目掛けて誰かに殴られているような
これほどまでに、「ドクン!!」という爆音を聞いたことはないほどに、大きな鼓動

ただ家で横になっているだけなのに、歩いても、走ってもないのに、マラソンしてもここまで大きな鼓動になったことはない
それほどの心臓の動悸に襲われ、一体何が起こっているのかわからなかった。

心臓病?心筋梗塞?心不全?
いぜれにしても、ただごとじゃない!ヤバイ!これはヤバイ!

とても立ち上がれるような状態じゃないし、声も上げられない
このまま意識を失ってしまうんじゃないだろうか・・・
何とか心臓の動悸が治まってくれないか・・・

1分ぐらいたったのだろうか。
永遠とも思えるような地獄の状態から、徐々に心臓の鼓動が小さくなっていく・・・

今のは一体何だったのか?

強い動悸はとりあえず治まったが、とても普通の状態じゃなかった。
それになんだか頭が少し変だ。さっきの強いめまいのような感じが気持ち悪い。まだ揺れているようだ。

また今みたいなのが来たら、今度は意識を失ってしまうんじゃないだろうか
そんな不安を抱えながら呆然と立ち尽くしていた時

「どうしたの?」

彼女が心配そうに覗きこんでくる

「いや、ちょっと・・・体調が・・悪くて」

心配かけまいと平然を装う余裕などなかった
もしかしたら自分はこのまま死んでしまうかもしれない。

とにかく、不安や恐怖のような得体のしれない感情に押しつぶされそうになりそうだった。

その時またあの音が

「ドクン!」

きた!徐々に心臓の鼓動が大きくなり始め、めまいが襲ってくる。
とにかくベッドで休もうと歩き始め、倒れこむようにベッドへ

異変に気づいた彼女の声が聴こえる

「え?どうしたの?」

「心臓が・・・」

「救急車呼ぶ?」

「いや、すぐおさまるから救急車は大丈夫だよ・・・」

重大な病気かもしれないと感じ、このまま入院の可能性も考えると病院には行きたくなかった。
時間が経てばおさまるはず。そう思った次の瞬間

最初に訪れた心臓の鼓動とめまいが同時に襲ってきたのだ

そんな私のただならぬ雰囲気を感じたのか、彼女が急いで救急車を呼んでくれた。

その時、本当にこのまま死んでしまうと本気で思った。
人間死ぬ時は意外とあっさりいくもんだな・・・

「がんばるんだよ」

まるで不治の病で入院して横になっている自分を、家族が周りで励ましてくれている
そんな映像が脳裏に映り、涙が溢れそうになってきた。

・・・

徐々に動悸が治まってきた。
心臓はもう大丈夫。めまいも・・・

いつの間にか救急隊が駆けつけてくれていた。
仰向けになっている目の先にいる救急隊の人が話しかけてくる。

動悸が治まったものの、尋常ではない感覚を味わい、これからのことを考えていた。

一体何の病気なのだろう
検査したらそのまま入院かな

もう起き上がれるまでになっていたので、歩いて車いすに座り、そのまま救急車に乗せてもらった。

病院について、めまいと動悸のことを伝えると、CT、心電図、レントゲンの検査が行われた。
検査結果がでたので、診察室に呼ばれて医者からでた言葉は意外なものだった。

「どこも異常ありません。ストレスか過労でしょう。」

異常なしと言われて普通はほっとするのかもしれないが、今回は違った。
そんなはずはないだろう・・・あんだけヤバイ動悸があってめまいもとにかくヤバかった・・・
死ぬことも覚悟したほどの症状を体験したのだから、また再発したらどうすればいいのか。

異常が何もないため、処方する薬もないとのことだった。
嬉しいどころかむしろ不安感しかない。

心臓の動悸はすっかり治まったが、頭が変だ。
何か頭の中に異物感があるような形容しようのない感覚だったのだ。

彼女は少し不安そうだったが、異常がないとのことでほっとしている様子
とりあえずその日は、そのまま家に帰り休むことにした。

異常は何もないと言われ、原因はストレスか過労。

当時、プログラマーとしてフリーランスで働いていた。
フリーなので、システムの納品が終わったら別のプロジェクトに配属するため、職場は都内を転々する状態だった。
徹夜で仕事をすることもあるし、ストレスは確かに感じている。
そのためタバコや酒の量もここ最近増える一方だったので、体調を崩しても仕方がないかもしれない。

ちょうど、今の仕事が終わるタイミングで、次の仕事の案件を探している最中だったので、一旦仕事の受注をストップすることにした。
その間、タバコや酒をやめ、十分な睡眠をとって規則正しい生活に戻せば治るだろうという結論に達した。

しかし、私はそれからも度々似たような症状に襲われる日々を繰り返すことになる・・・

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